演目紹介

邪気祓い幅

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その昔、原因不明の疫病の発生や飢饉など、小さな子どもたちは3歳まで生きることすら困難だった時代、それらは目に見えない魔物や邪悪な存在によるものと信じられていました。
目に見えない、恐ろしく邪悪なものから大切な人を守ってほしい、そういった切なる願いから人々は、魔を祓い清める「邪気祓い」の儀式によって、家族の、大切な人達の無病息災を願ってきたのです。
古来より赤は強いパワーを持つ生命の色であり、そして刀や剣など、「光るもの」には古来より「魔を祓う特別な力」があるとされてきました。
赤い鬼神が、大薙刀で邪気を祓います。


鬼切

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鬼切O-EAST



清和源氏嫡流の源頼光に仕える四天王筆頭として剛勇で知られた渡辺綱が、羅城門へ単身鬼退治に行き、源氏の名刀※と、その化身「鬼切」と共に闘い、鬼神茨木童子の片腕を斬り落とし武勇を天下に轟かす物語。素朴な武人気質と、刀剣に宿る武神の活躍を主題とする。典拠「平家物語」剣の巻など。

前場は、源氏の名刀を盗みに入った盗賊団を四天王が追い払い、催された酒宴の席にて綱と藤原保昌が、羅城門に鬼が住むか否かについて口論となり意地を張り合う場面を。後場は単身鬼退治に向かう綱の武勇、綱と鬼神・鬼切と鬼杖(鬼の杖の化身)の大立回りを描く。クライマックスは力強い奏楽と切組の迫力が見所。

鬼切4

※元の名を「髭切」と言い、渡辺綱が鬼を斬った伝説から「鬼切」と名を改められた。源氏重代の宝刀。銘 安綱(後代に國綱)。北野天満宮所蔵。重要文化財。


日蝕幅


結婚披露宴にて御用命いただきましたオーダーメイド作品です。華やかな御夫妻の門出を演出するため、インパクトのあるキャラクターとアクション、古武術の型、XMA(エク-ストリーム・マーシャル アーツ)、能をベースとした舞、女性の日本舞踊をベースとした舞による武楽演目。
二〇〇九年のご結婚を記念して、大きな話題となった皆既日蝕をモチーフとし、失ってはじめてわかる大切なもの、試練を乗り越えてより良くなる夫婦などを表現しております。


屋島四方斬
屋島
屋島2




源義経の活躍を描く躍動的な演目。能の中でも世阿弥の傑作中の傑作とされる勝修羅物で、謡が美しく、武楽の演目としては「源氏車(げんじぐるま)」など武術の躍動的な技や、四方の邪気を斬り祓う「四方斬(しほうぎり)」の所作を含む邪気祓いの演目でもあります。五色の布をつけた木剣を使用。

参考映像


鬼神



高砂祝舞
高砂



相生の松に寄せて夫婦愛と長寿をめで、人生を寿ぐ大変めでたい演目です。
お祝いの席、結婚披露宴の定番の演目です。


敦盛武運長久
敦盛武運長久



「人間五十年~」で知られる、織田信長公が桶狭間の合戦に出陣の際に舞ったとされる必勝祈願、武運長久の願いを込めた縁起の良い演目です。下天(六欲天の最下位の世で、一昼夜は人間界の50年に当たり、住人の定命は500歳とされる)と比較して人の世の時の流れは実に儚く夢幻のようである。この世に生まれてきた以上、滅っせぬものはない。潔く美しく生きんと欲する武士の死生観を背景とした舞です。

典拠『信長公記』-此時、信長敦盛の舞を遊ばし候。人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度生を得て滅せぬ者のあるべきか、と候て、螺ふけ、具足よこせと仰せられ、御物具召され、たちながら御食をまいり、御甲めし候ひて御出陣なさる。


羽衣
羽衣


羽衣2

羽衣3


叢雲
叢雲



古事記編纂1300年記念作品です。日本神話、スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治を通し、自然への畏怖と尊敬、大切なものを守るための武の力、刀剣に宿る霊力を表現。


田村
田村



初代征夷大将軍である坂上田村麻呂を主人公とする祝言の演目。
武将坂上田村麻呂が、鈴鹿山の鬼神討伐の際に大きな助けとなった清水寺のご本尊千手観音の千の御手から放つ千の矢の御利益を讃える。


献武式タイトル
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源



▲於:エルサレム ヘブライ大学ホール

古武道の要素と能の舞の要素を含む演武を
神にささげる奉納の儀式として、
武士のたしなみである茶道の所作を融合し
恭しく洗練された演目です。


鬼蜘蛛



幸せな日々を過ごす武将と姫。雷鳴と共に現れた鬼蜘蛛に襲われ、武将が応戦するも蜘蛛の巣にかかって姫はさらわれてしまう。落胆する武将の前に偶然通りがかった忍の者に助けてもらい、その俊敏な動きがあれば鬼蜘蛛の蜘蛛の巣を避けられると考え、指導を請う。厳しい修行の末、腕を磨いた武将はいざ姫を救わんと鬼蜘蛛のもとへ。蜘蛛の巣は避けたものの、鬼蜘蛛が薙刀で応酬し激しい軌り組みとなり、追い詰められたところへ、忍の者が旗を手に颯爽と助太刀に参上する。協力し合い合体技、空中技を駆使し、見事鬼蜘蛛を打ち滅ぼし姫を救出する。演目時間30分


紅葉狩

紅葉狩


櫻花



満開の桜の中、戦う武人達。黒龍は、敗れて死に際し、初めて花なお美しさに気付き悟る。
その時、櫻の精霊が現れ舞を舞い、死者を精霊の世界へと連れ去る。
見どころ
後場のクライマックスで、櫻の精が舞を舞った後、面を外すと髑髏の姿が現れるというサプライズ演出。
春を連れてくる神が死者の霊をあの世へと連れ去る死神にもなる。生と死、二つの側面を持つ神の姿を表現。はずした面は死者にかけられ、新たな桜の精として生まれ変わる。春の世の夢のごとく散る桜、市は終わりではなく、新たな生を表す。
能楽宝生流十七代宗家を祖父として生まれ、世界のフラワーアーティスト二十七人にも選出された気鋭の華道家 横井紅炎師による『櫻花』の花美術。