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May Jさんが表紙の六本木系雑誌VANITY MIXに武楽座代表の源 光士郎のインタビュー記事が掲載されました。

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三村愛(以下 三村)  さっそくですが、『武楽』では今までの能や歌舞伎とは違い、女性が活躍したり、外国の楽器を使ったり、バク転のようなアクロバティックな動きを取り入れていらっしゃいます。
従来の能や歌舞伎といった伝統芸能に比べて斬新な印象がありますが、あえてこのような表現をとる理由を教えてください。

源光士郎(以下 源)  伝統芸能にはなぜこの形になったのか、という由来があります。例えば歌舞伎は元々、出雲阿国という女性が生み出したとされています。しかし、時代的な背景により、男性中心の文化として継承されました。今日では、それ自体が伝統であり歴史となりました。
先人に敬意を払いつつも、「武の美」をテーマとした『武楽』が、全く新しいスタンスで日本の伝統文化の魅力を若い世代や海外へ広く発信する形が私達にできる役割の一つと捉えているからです。

江波戸知子(以下 江波戸) 歌舞伎が女性から生まれた文化だったなんて初めて知りました。

三村 大事な伝統を今までの土俵で変えようとするのでなく、別でまっさらな状態から築き上げているのが『武楽』なんですね。女性の活躍も楽しみですし、歌舞伎の女形とはまた違った形の女性の美が生まれそうですね。

源 ありがとうございます。ところで、能や古武術は敷居が高く難解なイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、一番楽しむ方法は習ってみることなのです。サッカーや野球でも実際にプレイしてみるとルールもわかりますし、ボールを扱う難しさなども体感し、観る楽しさも増します。『武楽』では女性でも気軽に習うことができ、舞台でも活躍することができます。先日もこちらV2 TOKYOで『武楽』を披露した現役女子高生も、稽古をはじめてから能楽や居合の演武などの見所もわかってきたようで鑑賞も楽しんでいます。

三村 先日、私も『武楽』のお稽古に参加させていただいて抜刀を体験したのですが、刀の重さに驚きました。女性が古来の武術や能楽をはじめ伝統文化に対する理解を深める入り口の一つとして『武楽』があるようにも感じました。また、武道の精神も垣間見ることができたような気がいたします。

源  私は、武道に世界を変える力があると考えています。例えば空手をやっている外国の方は「押忍!オッス!」と礼儀正しく日本人よりも日本人らしいといわれる方も多い。「強くなりたい」とか「格好いいな」と形から入り、和の心や相手を尊重する精神が自然と血肉になるのだと思うのです。

三村 私も剣道をやっていたのでわかります。相手を敬い慕う姿勢ですね。この姿勢は女性も意識して継承していきたいですね。でも源さんはあえてそこで日本の伝統芸能に近い形でやっているのは、なにか想い入れがあってされているのですか?

源 それは、居合や薙刀(なぎなた)などの武道の美しさを若い世代や世界に向けて発信するため、武士のたしなみでもあった能の舞や、音楽、物語の要素を加え、先人が守り伝えてきてくださった伝統の素晴らしい点を活かし、日本人である私達が、日本人であることをアドバンテージにして貢献できる形だと思ったからです。また、『武楽』を世界に広めることで、着物や芸術品とも言える鍔(つば)や漆塗りの鞘(さや)といった工芸品の集合体である刀など、日本の産業を輸出するインフラを構築したい想いもあるためです。たとえば『武楽』を稽古すると舞台で披露したくなります。すると装束や扇、刀も必要になり需要が生まれます。ゴルフがあるからゴルフウェアやクラブが売れるように、『武楽』とその周りの産業を世界の主要都市に展開していけたらと考えております。

三村 凄い!グローバル展開できるんですね!ただ引き継ぐとか変革するとかじゃない目線で、今までの伝統文化と共に生きていくし、着物や工芸などの産業を世界展開する要になるということでしょうか。

源  我々にも必要なんです。着物や刀が。周辺産業と力を合わせ、日本文化を『世界文化』にする挑戦です。

三村 お話を伺い目からうろこなのが、私は今まで女道というものを作ろうという中で、どこかの文化や産業を手伝うとか、何かにとっていいものになろうというよりも、女の子にとっていいものになろうと受け止めていた気がするんですよね。女道の活動をする上で、日本の文化や産業に対して女性として出来ることを模索して、社会的に価値のある動きができる組織にしていきたいと感じました。そして私たちが女道の活動をするにあたって、日本人女性であるというアドバンテージを活かす事で沢山の可能性を生んでいきたいです。伝統や風習に縛られて女性が出来なかったことを、これからの女性は新しく作っていくことが出来るって素晴らしいことですね。

江波戸 源さんが海外に日本の伝統文化や産業のいいところを発信するように、日本女性のいいところを改めて今の若い子たちに伝えていきたいんです。しかし、華道や茶道など、伝統文化は素敵だと感じますが、堅苦しくて取っつきづらいと感じる女の子もいると思うんです。でも、西洋のモノマネではなく、日本の女性らしさ、大和撫子と言われるような、昔の日本女性のいいところを再認識して磨く方法がないかと立ち上がったのが女道で、今も試行錯誤しています。

源 ぜひ、がんばってもらいたいですね。

三村 そういえば、2009年のフジロック・フェスティバルでも、海外アーティストと一緒にご出演されましたよね。

源 ええ。そのとき自分達のステージを終えて楽屋に戻る途中で、海外のアーティストに「アメージングでビューティフルだった」と褒めていただきまして、ついでに「一緒に写真を撮ろうよ」ということで記念撮影したのですが、面(おもて)を掛けておりましたし誰だろうと思いましたら、なんと世界的なトップアーティストのオアシスだったので驚きました。(笑)そのとき『武楽』はもっともっと自信を持って表現できるものなんだと気づけたのです。やはり大切なのは自信を持つことだと思いますよ。『女道』も無理に伝えるのでは無く、自身が楽しみながら、そして自信をもって取り組んでいかれたらと思います。

三村 そうですね。そのためにはまず日本の素晴らしさを再認識する必要がありますね。

源 はい。日本の素晴らしさといえば、日本には元々「お互い様」といって思いやりを持って察し合う精神、互いに良いバランスを保つ素晴らしい文化があると思うんです。例えば足を踏まれた時、日本では踏まれた方も謝る光景を見かけますが、外国の方の目には不思議にうつるようですね。これは「うかつ謝り」と言って、足を踏まれた方も踏まれそうな場所に足を置いていたことを自分にも非があるかもしれないという考え方なんです。踏んだ方も踏まれた方も両方が謝るので丸く収まる。また、日本人はYES・NOがはっきりしないとか、主張しないとか、コミュニケーションが下手とか言われますが、言葉だけでなく表情や雰囲気で表現し、察しあうところが逆にコミュニケーション能力が高すぎるとも言えるのです。世界の人々が日本人くらい察するコミュニケーション能力が高まれば、いろいろなことが丸く収まるかもしれません。お互いの気持ちを尊重しあえる素敵な文化なんですよね。

三村 確かに。

江波戸 日本人って能力が高かったんですね~。

三村 今日のお話を伺って、あらためて日本ってすごい、日本人で良かったって思いました。

江波戸 今日のお話を聞いて、『武楽』が身近に感じましたし、女性も習えて舞台に立てることに驚きました。それと、源さんのお話で、日本っていいなって感じました。こうした気持ちを、私がおばあちゃんになって、孫にちゃんと伝えられるような、そんな女性になれるように、女道を頑張りたいって思いました。

全員 おー!(拍手)

源 すごいまとめになりましたね。(笑)いや、まさにそれが我々の目的ですもんね。良かった~。

三村 本当に!源さんとお話をさせていただいて、女道の目指すべき方向性、何を大事にするべきかを知ったような気がします。要は押しつけではなく、助け合いの精神を持って、女道もそこから入る必要があるなってところと、もっと日本に自信を持って、その上でもっといろんなことを体験して、華道や茶道も、『武楽』もそうなんですけど、実際にやることによって理解することができるのではないかと、あらためて感じました。

源  日本の文化は、知れば知るほど自然に伝えたくなるものだということを、自信を持って伝えていってほしいと思います。それには、今こそ若い世代が立ち上がらなければならないのです。

三村&江波戸 自信を持って伝えていきます!

PROFILE
武楽創始家元 武楽座代表 源 光士郎
「武の美」をテーマに、居合や薙刀などの武道と伝統芸能を組み合わせた芸能『武楽』を創始。最新のテクノロジー、DJやVJなど気鋭のアーティストとのコラボレーションなど、時代のニーズに合わせたさまざまな試みに挑戦。また、仏ジャパン・エキスポ、世界遺産フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂、エルサレム・ヘブライ大学、ロンドン、ブリュッセル、上海など世界各国や被災地石巻の鹿島御児神社、鎌倉五山第一位建長寺での国際交流企画など各地で奉納公演。『フジロックフェスティバル’09』をはじめ、若者向けのイベントでも活躍。日本の武士道を世界に向けて発信している。

オフィシャルブログ
http://profile.ameba.jp/bugaku-bugei/
武楽オフィシャルサイト
http://www.bugaku.net